PsychologiQ-サイコロジック-

帰ってきた男【Q 自殺か他殺】

「じゃあ、これは自殺ってこと？」

「そうですね、自殺の可能性が
高いんじゃないでしょうか。
シートベルトもしてなかった様ですし。
主任と通ったゲートの
バーが破損しているので
おそらくあそこから加速して
そのまま突っ込んだのではないかと思います」

なるほどね。でもどうしてこんな所で自殺なんか。

「香田先生は自殺なんかするような人じゃないです」

私はとっさに振りかえった。

声は周りに集まる人混みの中から聞こえてきた。
すると二人の人間が私の前まで歩いてきた。

一人はスーツを身にまとい
手袋をしている、
五十代くらいの細身の男性だった。

その隣には同じくスーツ姿の女性。
年は二十代後半といったところか。