帰ってきた男【Q 自殺か他殺】

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「あなた方は一体」 「僕は香田先生の運転手をしている 林田というものです。 香田先生が自殺するなんて考えられません」 なるほど、叫んだのはあなたですね。 「私は秘書の神崎です」 「お二人は今日香田さんと一緒にいたんですか?」 私の問いにまず林田さんが答えた。 「いえ、香田先生が今日は自分の車で行くと 仰ったので、事務所で 別のお車の手入れをしておりました。 そしたら急に電話が鳴りまして、 持病のお薬を忘れたとの事だったので お持ちしたところ、この様な事に」 「わかりました。ちなみにその電話は何時ごろ?」 「九時半ごろだったと思います」 私は林田さんの話を一応手帳に記入した。 「それでは、神崎さんは」 「はい、私は九時すぎに 香田とここに訪れました。 しかし十時から予定があり 私は外すように言われましたので 隣のホテルのロビーで時間を潰してました」 「はい、わかりました。 で、その相手というのは どなたか分かりますか」 「それは俺だ」
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