-2-

2/7
前へ
/32ページ
次へ
 石を五つ積むことに成功し、わたしはヨシッ、と小さく呟いた。  六段目に挑戦しようと周りを見回し、出来るだけ平らな石を探し始める。  学校の駐車場には、まだ何台か車が残っている。  17と番号が振られた駐車スペースで、わたしは輪止めに腰かけ、石の積み上げ記録に挑戦し、時間を潰していた。  長時間ここにいる間に体が冷えて、さっきから鼻をすすっている。  六つめの石に挑戦していたところに、車のエンジン音が近づいて来た。  顔を上げると、ヘッドライトの光を正面からまともに受け、わたしはその眩しさに顔をしかめ、右手を目の辺りにかざした。  エンジン音の向こうで、パワーウインドが開く音がする。 「椎名。――何やってんの、こんなとこで」  春山先生の驚いたような声。 「待ってたんです。先生のこと」  先生の表情は、ヘッドライトの光で全く見えない。  しばらく間があってから、カチ、とライトが消された。 「とりあえず、そこどいて。車、停めるから」 「はい」  わたしは立ち上がって、スカートの砂をポンポン、と払った。  
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1352人が本棚に入れています
本棚に追加