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 パトカーの回転灯が、体育館の壁にちかちかと赤い光を反射している。  わたしは校舎の階段の踊り場にある窓から、じっとその赤い灯を見ていた。  学校の大きなワゴンに、ぞろぞろと人影が乗り込んで行く。  ここからは、その中に先輩がいるのかどうか、確認することが出来なかった。 「――椎名。大丈夫か?」  見下ろすと、榊先生が階段を上って来るところだった。 「榊先生……。ついていかないんですか」 「もちろん行くよ。 サッカー部の電話リスト、取りに来たんだ。……親御さんにも、警察に来てもらわないとな」  疲れ切った顔で、ため息をつく。 「先生こそ、大丈夫ですか」 「……大丈夫では、ないよ。……全ては俺の監督不行き届きだからな」  先生は、ひきつった笑顔を見せた。 「お前らの担任、続けることは出来なくなるかもしれない。……あと少しだったのに、な」 「……」 「椎名。放送部、がんばれよ。それと坂口の事、よろしく頼むな」  榊先生はわたしの肩をポン、と叩いて、職員室のある2階に上がって行く。  ――あれ……。  なんか、今……。  ハッとして階段の上を見上げたけれど――榊先生の姿はすでに視界から消えていた。 *****    はやる気持ちを抑え、1階に下りて廊下を見回す。  きょろきょろしていると、少し先に消火器のケースが目に留まった。  足早に歩み寄り、傍にしゃがみ込む。  ――あった。  そこに書かれた文字を読み、呟く。 「……そうだったんだ……」  自分の勘違いに気付いた衝撃で、わたしはしばらくそのまま、消火器の前に座り込んでいた。
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