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玲人さんが用意した車に乗せてもらう。車内は見た目より広く、座席は向かい合うような形になっていた。
「多分30分位かかるから、その間話、しようか」
笑いかけられて、ドキッと思いながらも「はい」と答える。ふと、鏡夜様が昨日‘玲人,と呼び捨てをしていたのを思い出す。
「そういえば、玲人さんはなんのお仕事をしていらっしゃるんですか?」
すると、玲人さんは嬉しそうに答える。
「俺はね~鏡夜の会社と協定を結んでる会社の一応社長なんだけど、主に医療を取り扱ってるんだ」
「医療?」
「うん。いっけん鏡夜の貿易会社と関係ないように見えるけど、海外への医者の派遣とか、薬の輸出とか…そんな感じのことやってんだ」
「すごいですね、お若いのに」
「いやいや、鏡夜と比べたら全然すごかないよ」
玲人さんは本当に謙遜している訳ではなく、本心から鏡夜様を尊敬しているのが分かった。
「ま、鏡夜の家ついたらそのすごさがすぐ分かるよ」
目の前には現代風のお洒落な白い家。表札には『四季鏡夜』と彫られていた。
玲人さんがインターホンを押す。ピンポーンの音の数秒後に『…はい』と鏡夜様の声が聞こえた。
「玲人で~す」
『…今日は何かあったか?』
「ないけど、さゆりちゃん連れてきました~!」
すると、インターホンの向こう側からカチャと切る音が聞こえた。
やっぱり迷惑だったかな…
少しだけショックに思っていると、玄関のドアが開いた。向こう側には昨日のよりも不機嫌そうな表情の鏡夜様がいた。
「…なんで来た」
「さゆりちゃんがお前がいないと寂しいって言ったから☆」
「「!!?」」
驚いて玲人さんを見ると
「斗真から聞いた」と言っていたのを思い出す。
斗真さん、気付いてたんだ…というか、いつの間に。
鏡夜様を見ると私と同じで驚いたらしく、目を見開いていた。そして深いため息をつくと、ドアの隙間を少し大きくした。
「何回か来てるけど、お邪魔しまーす」
「お邪魔します…」
私は玲人さんの後ろについて中に入った。
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