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目の前には大きな門。上には『季 四』と彫られていて、立派なたたずまいだった。奥には大きな桜の木が見え、桜の花びらが舞っている。
見惚れていると、門の柱から人影が見えた。
そこには黄土色の髪の綺麗に整った顔立ちの男の人が現れた。
「白百合さゆり様、でよろしいでしょうか」
「は、はい」
突然聞かれて慌てて答える。すると、その人は柔らかく微笑んで深々と頭を下げた。
「私は四季家当主に仕えています斗真といいます。以後、お見知りおきを」
「よ、よろしくお願いしますっ」
また慌てて頭を下げる。
「斗真って確か鏡夜様の従兄弟の内の1人の名前だったような気がします。私の記憶が正しければ今は17歳で当主の護衛もしている筈です」
「護衛…」
響きからして強そうな感じだけれども…
思わずジロジロ見てしまう。すると私の視線に気づいたのか、斗真さんはクスッと笑った。その笑顔は無邪気な表情で少しだけドキッとしてしまった。
「では、鏡夜様の元に御案内いたします」
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