寂しさ

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「それにしてもさゆり様は起きるのがお早いですね?日課か何かですか?」 「眠りが浅いんです。だから遅めに寝ても早く起きちゃうんです」 「そうなんですか」 斗真さんがふと気がついたように視線を私に向けた。 「せっかく早く起きられたので、屋敷の中を御案内致しましょうか?」 「!はい、ぜひ!」 正直、このお屋敷は白百合の家よりも大きくて、どこをどう行ったらどこにたどり着くのか知りたかったところだった。(昨日はそのせいで、部屋に入ってからずっと引きこもっていた) 「では、着替えて部屋で待っていてください。お迎えにむかいますので」 斗真さんと二人で長い廊下を歩く。 「…次にここを左に曲がれば、使用人達の部屋に。菫様もこちらにいます。その奥には台所があります。そして右は主に食事をする秋の間があり…」 次々と紹介されていく場所を忘れないようにしっかり聞いていく。 「ここは四季家の本家なので、行事などには多くの親戚や鏡夜様の仕事関係者などが集まります」 「あ、鏡夜様といえば…」 私はふと、思い出して斗真さんに尋ねる。 「今日見かけていないのですが、どこに鏡夜様の部屋があるんですか?挨拶しておきたいと思っていて…っていっても、まだ早いからなのかもしれませんが…」 「鏡夜様は…」 斗真さんはそこで言葉を区切り目を伏せる。 「ここには住んでおらず、別の、会社に近いご自宅に住んでいらっしゃっています」 「?なんでですか?」 「詳しくは分かりませんが、鏡夜様はお一人を好むようで…」 斗真さんの表情が一瞬だけ曇る。来たばっかりの私には言えない事情でもあるのかな…? 「ちなみに鏡夜様の部屋はさゆり様の隣です」 そういえば、隣は空室だった気が…あそこが鏡夜様の部屋か… その時、お腹がきゅるる~…と音たてた。恥ずかしくて慌ててお腹を押さえる。 斗真さんは可笑しそうにクスッと笑うと 「そろそろ、朝ご飯の時間ですね。このまま秋の間に行きましょう」 と言った。
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