第1話

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「待って!」 ふわりと宙に浮いた俺の体が、また地へ戻される。 しかも、ただ戻されるだけでなく、大の男一人を屋上へと叩きつけた。 「ぐっあ!……っは、なんだ!?」 「なんだじゃないでしょ……今死のうとしてたでしょ」 倒れこみ、咽せる俺は顔を上げた。その光景は、太陽の光のせいで、周りにベールをまとっているようだ。そよ風に揺れるパールのような髪も、南の海のような瞳も、雲のような肌も……すべてが美しい。 その姿は天使と形容すべきだった。 それほど美しい少女が眼前に立っていた。 「ちょっと!聞いてるの!死のうとしてたでしょ!」 「……ああ、そうだ…が」 「はあ、もう、馬鹿じゃないの?」 それから少女はくどくどと道徳の授業のような話をし始めた。 だが俺は、非常に混乱していてそんなこと頭に入ってこない。 なぜここにいるのか。 なぜ少女にあんな怪力があるのか。 なぜ助けたのか。 疑問点がありすぎてわからない。 「…………だから、命は粗末にしちゃだめ!」
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