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「待って!」
ふわりと宙に浮いた俺の体が、また地へ戻される。
しかも、ただ戻されるだけでなく、大の男一人を屋上へと叩きつけた。
「ぐっあ!……っは、なんだ!?」
「なんだじゃないでしょ……今死のうとしてたでしょ」
倒れこみ、咽せる俺は顔を上げた。その光景は、太陽の光のせいで、周りにベールをまとっているようだ。そよ風に揺れるパールのような髪も、南の海のような瞳も、雲のような肌も……すべてが美しい。
その姿は天使と形容すべきだった。
それほど美しい少女が眼前に立っていた。
「ちょっと!聞いてるの!死のうとしてたでしょ!」
「……ああ、そうだ…が」
「はあ、もう、馬鹿じゃないの?」
それから少女はくどくどと道徳の授業のような話をし始めた。
だが俺は、非常に混乱していてそんなこと頭に入ってこない。
なぜここにいるのか。
なぜ少女にあんな怪力があるのか。
なぜ助けたのか。
疑問点がありすぎてわからない。
「…………だから、命は粗末にしちゃだめ!」
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