走るアイス

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そんな日が続いた。 今日も仕事から帰ってきて冷凍庫を開けた。 あかね。アイスに名前つけてるなんてね。他の人にはあまり知られたくないかも。 ・・・あれ? いつも同じ場所に置いてるのに、あかねがいない?なんで?どこに行ったの!あかね!あたしにとっては・・・あかねといることが毎日楽しみなのに!どうして! 「あいり、いまごろどうしてるかな・・・勝手に出てきちゃったけど」 でも、アイスとして・・・食べられた方がいいのかなって思ってここまで来ちゃった。もう、お別れだね。いきなりでてきちゃったけど、楽しかったよ。あいり。 今は、ふたのない冷凍庫で人間の手にとってもらうのを待つだけの存在。 手に取ってくれるのがまたあいりだったら、って考えたくなるけど、そんなのありえないよね。ごめんね、あいり。 まさかね・・・こんなところにいるわけないよね。 それに、新しいアイスを買ったって、あかねが戻ってくるわけじゃない。なんであたしアイス売り場にいるんだろう。やっぱあかねが忘れられないから。 ん?ここの二段目・・・まるであかねがいるような気配。 「あかね?」 「あ・・・あいり・・・」 「あかねだ!見つけた!やっと会えた!」 「まさかまたあえるなんて・・・ねえあいり、わたしを買って?」 「うん!そんなの決まってるよ!」 あかねが、家に戻ってきた。あかねも嬉しそうにしてるみたいだし、もう出ていくことはないかな。
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