4食目・オールマイティーとはつまり目立たないこと

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 話を簡単にまとめると、ミラは街中で大きめの火柱を作ったのだ。 「そんなことして、大火災になったらどうするつもりだったんだミラ!」 「痛い痛い痛い、ごめんなさい! 大丈夫だよマリアちゃんが障壁を張ったから!」 「自分でやれ!全く……」  ようやくアインが手を離す。つねられて赤くなっている痕を、涙目でさするミラ。  やりすぎたとは思わない。一週間もすればミラは、自分が怒られたことを忘れるだろう。 「もういいや。みんな、行くぞ」 「え? ああ、うん」  アインが立ち上がり、遅れてミラも立ち上がる。ニコラは無言で部屋を出て行く。マリアは、状況が掴めず不安げな顔をした。 「あの……行く、とはどちらへ?」 「全部、山賊が悪い」 「え?」 「アインはね、山賊を殲滅しに行く、って言ってるんだよ」  アインの回答をミラが翻訳する。それでも、マリアは疑問符を解消できない。 「山賊を潰す。ついでに存在をアピール」 「ああ……でも」 「マリアは戦闘要員じゃないし、ついてこなくてもいいぞ」  ニコラが戻ってきた。黒革のマントとブーツを装備している。それは、夜に仕事を行うときのニコラ式のスタイルだ。  そんな本気のニコラに言われ、マリアはどうすべきか迷う。 「……ニコラさんは、どっちが嬉しいですか」  結局、ニコラに問うマリア。ニコラは少し考える素振りを見せる。だが、答えはすぐに出た。 「来てくれた方が、心強い……俺は、マリアがいた方が嬉しいが、やはり危険で」 「行きます」  最後まで聴かず、マリアは言う。その瞳には、強い決意の色。 「ニコラさんがそう言ってくださるなら、私はどこにでもついていきます」 「……ニコラ、あれだけ言われてもなんで気づかないんだろうな……」 「味と恋心に鈍すぎるんだよ」  少し離れた所で、アインとミラが苦笑した。  翌朝。  討伐作戦の実行者は、攻め込んだ根城でのびていた盗賊の捕縛のみ行い、帰還した。  尋問の結果、先駆けて攻め込んだのがアイン率いる魔王討伐チームの4人と分かり、アインの知名度は一時的ながらも元に戻った。  ……一時的ながら。
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