第二章「名前」
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長かった夜も明ける頃、街から少し外れた目立たない所にある小さなビルの一室。 デスクワークをしていた玄霧葵は資料を机の上に放り投げ、大きく伸びをする。 ポニーテールに結った髪が揺れ、伸びをしたことによりそれなりのサイズを持った胸が強調される。 一見して二十代の若く美しい女性ではあるが、彼女の実年齢を知るものはそうそういないだろう。 「――ん?」
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