バシレウス

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こんな時になんだってんだ。今度はいつも通りの未来予知で、俺の身体は自由に動かなかった。 俺の身体が二重にぶれて、もう一人の俺が男の腋をすり抜けようとする。その瞬間。男は拳を思いっきり俺の腹にぶち込んだ。 「ふごっ!?」 次の瞬間には俺はくの字に身体を折り、だらしなく地面に崩れ落ちた。 それと同時にモノクロの無機質な世界は崩れ去り、元の色の付いた世界に戻る。 おいおいマジかよ………。 俺はすり抜けようとして沈みかけてた腰を無理矢理引き戻し、その勢いで後方に跳ぶ。 直後。ブンッ!!と空気を切る音が聞こえて、見ると直前まで俺のいた場所に男の放った拳があった。 「なっ!?」 男は思わず驚きの声を上げる。俺みたいな子供に自慢の拳を避けられるとは思ってなかったんだろう。もちろんうまい具合に能力が発動してなかったら俺はワンパンKOされてた訳だが。 「ど、どうゆう事ですか?」 大方察しはつく。ボディーガードなんかではなくそこらのヤクザか何かだろう。ったく、こんな時に。 男は俺の言葉を無視して構えをつくり、隣接体制になる。仕方ない。やるしかないか。一様俺は中一の頃剣道部に入っていたからある程度反射神経はあるはず。あの主人公の頬に十字傷のある某少年マンガの影響で入ったため、長く続くわけもなく一年でやめたんだが。俺も龍槌閃やりたかった。
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