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でも頼るのはその一年間で育てられた反射神経ではない。俺の能力。つまり未来予知だ。予知は自発的には行えないが、俺が本能的に身の危険を感じたりするとよく発動する。たとえば自転車でコケそうになる直前だったり、階段で足をひっかけて転がり落ちそうになったときに能力が発動した。今回もそれがうまく発動してくれればなんとかなるはず。
簡単に言うと運まかせだ。
「ぬんっ!!」
男は巨体に似合わない俊敏さで拳を放つ。
「っ!!」
それをなんとか後ろに倒れるようにして避ける。尻を地面に打ち付けてしまったがなんとか回避できた。
しかし能力は発動しない。まずい、この体制で攻撃されたら今度こそ避けれない!頼む!発動してくれ!!
その時頭痛と共に頭にノイズが走る。
きた!!世界は色を失い、無機質な世界に成る。
男は拳を俺の顔面に打ち込む。俺の身体が二重にぶれて拳を顔面で受け止めた俺は、後頭部を地面に叩きつけられて、さらに大量の鼻血をだらしなく垂らしながら気絶した。
そこでモノクロの世界は崩れ落ち、元のカラフルな世界に戻る。
休む暇を与えず男はすぐに拳を構えて俺の顔面めがけて拳を放つ。
「ひぃっ!!」
俺はなんとか身をひねってそれを回避。そのまま俺は攻撃を終えた隙をついて男の腋をくぐり抜け、力の限りに地面を蹴る。
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