プロローグ

2/3
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
キーンコーンカーンコーン 「起立ッ、礼。さようなら」 鐘の音とクラスメイト達の号令が重なる。 「うっしゃあああ!夏休みキタコレ!」 「帰ったら寝よう。そうしよう」 「いやゲーセン行こうぜゲーセン!」 直後、教室内は浮かれた喧噪で満たされる。 今日から夏休みだ。 めんどくさい学業だらけの日々から解放される長期休暇。浮かれるのも無理はない。 この俺、檻姫司(おりひめつかさ)もその一人だ。 リア充達はこの長期休暇を使い、文字通り倒れるまで遊びまくるのだろう。 彼等にはやることがたくさんある。海やら祭りやら遊園地やら恋愛やら、夏を満喫しなくてはならないのだ。 いや少しは休めよ。 その点俺は基本家でだらだらしてるだけなので、しっかり夏休みの休みの部分を充実させることができている。 つまりだ。俺はそこらのリア充達より夏休みを満喫できてる事になる。 今日も帰ったら速攻で寝る予定だ。 そうと決まればさっさと帰ろう。睡眠最高。 俺は一人鞄を肩に担ぎ、教室を出る。 その時、走っていたがたいのいい男にぶつかり俺は尻餅をつく。 「いって……」 文句の一つでもいってやろうと思った時には男はすでに見えなくなっていた。ったく、ふざけやがって。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!