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「あーもうっ!」
こんな事を考えててもイライラするだけだ。意味がない。気晴らしにゲーセンにでも行こう。
「ちょっと出てくる」
「え、ちょっどこ行くの?」
「ゲーセン」
「ゲーセンって……お兄ちゃん!」
声を投げかける奏を無視して準備をすませると、俺は家を出た。
◆
「お兄ちゃん………」
兄がいなくなった部屋で一人呟く。
あの事件の事になるとお兄ちゃんはいつもこうなる。
やっぱりお母さんの死を直接みてるからショックが大きいのだろう。
「大丈夫かな……」
そう呟いた時、狙ったように私の携帯がなった。ディスプレイに表示された名前は檻姫純一(おりひめじゅんいち)。私のお父さんだ。
「はい、もしもし」
『もしもし、奏か!?』
電話越しのお父さんの声はあわてていた。
「う、うん。奏だけど。どうしたのお父さん?」
『予知したんだ。ついこの間動いてもらったばかりだが、今日も働いてもらうことになる』
「嘘っ!?こんな、連続で!!」
『ああ、今日の夕方だ。細かい場所はメールで送る。しっかり準備をしておけ』
「ちょっ!」
ブツン……ッーッー。
私の頭は混乱しまたままで電話は切れてしまった。耳には無機質な音が響いている。理由はわからないけど彼等も本気で動き始めたってわけね………。
「……はぁ。しっかりやらなきゃね」
私は不安をかき消すように拳を握りしめた。
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