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「さーて、派手におっ始めるとしますか。」
何とニブルヘイム解放戦線の武装組の半数、凡そ50が堂々と最初の爆破で崩れた城壁を登って現れたのだ。
少数である事を生かしたゲリラ作戦でもなく、いきなり敵の本城に堂々と。
約3万の兵力が集結した王城に、たった50人で。
「死にたくなけりゃ遅れんなよ、転んでも死ぬからな!!!」
予想外の事態に大混乱へ陥る他の兵士達を他所に、ヴァルハラナイツは即刻迎撃態勢に入る。
何の考えがあってかニブルヘイム解放戦線は退かず、それどころかヴァルハラナイツへ正面から突っ込んで行く。
怖れる要素が無い。
単純な数だけでも4倍近くの差があり、装備も戦士としての練度も実戦の数も何もかも。
時には人間の数十もある星獣を相手に闘うヴァルハラナイツには、奇を狙った奇襲程度では戦力差は埋められない。
冷静に、そして雑魚にも徹底的に全力で。
こちらへ愚直に突っ込んで来るニブルヘイム解放戦線を確実に仕留められる距離まで引き付け、一斉に星辰術の絨毯攻撃。
殲滅完了。
オーバーキルと言うか、ランクの高い星辰石による圧倒的火力の星辰術の砲撃は過剰な程に1分以上続き、
恐らく元は人間と判別できる死体が一つでも残っていれば御の字なクリムゾンな惨状を今一時砂埃のベールが隠す。
徹底的な絨毯攻撃が終わり数瞬遅れて、兵士達の間から鬼の首を取ったかのような大歓声が上がる。
対称的にヴァルハラナイツの方は当然と言った体で、元の隊列に戻ろうとさえした。
しかし、予想外な事は連続して起きる。
「ウエッ、口に砂入った!!」
「目に砂が!!」
「ちょっと火傷したし!!」
「ちょっと隊長、取り零し多くないですか!!?」
「ま、真横を通り過ぎてったぜ………………」
砂煙に影が浮かんだのが見えた直後、ほぼ無傷のニブルヘイム解放戦線が砂煙の中から飛び出して来た。
軽口を叩く余裕さえ残して、だ。
そしてニブルヘイム解放戦線の先頭を走る黒いロングコートの男、
レオンハルトは俯きがちに後ろの3人に持たせていた鉄の筒──神滅砲寄越せと奪い取るように受け取った。
ギンッ!!!!
と、死を見た事でテンションが極限状態まで上がったレオンハルトは鬼気迫る顔を上げ、
「鉛玉のフルコォォォォォォォオオス!!!!」
『召し上がれェェェェェェェェエエ!!!!』
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