第三星 開けてビックリなんと中身は!?

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十数mという近距離で、神滅砲のガトリング砲が火を噴き鉛玉を亜音速で吐き出す。 ヴァルハラナイツの不幸は、道路の幅で行動が大きく制限される市街戦である事を考慮して、 星辰術を弱め、もしくは無効化する布で織られたローブを装備に選んでしまった事か。 機動性を重視したばかりに物理的な攻撃に対する耐性はほぼ無しに近い。 大型の星獣の討伐の際に装備する防具であれば何割かは生き残り反撃できたかもしれないが、 秒間6発撃ち出される鉛玉は容赦なく軽装のヴァルハラナイツを貫く。 「回収!!!」 ガトリング砲の水平掃射を何往復かするとヴァルハラナイツで立っている者はいなくなり、 疑い様のない殲滅を確認したレオンハルトは後ろに控えていたニブルヘイム解放戦線に指示を下す。 文字通り蜂の巣となって倒れ伏すヴァルハラナイツに駆け寄り、死体を漁る。 「グロいグロいグロいグロいグロい!!!」 「変な液体が!!!」 「ちょっ、中身出てる!!」 「………………暫く飯食えね。」 「文句言ってねぇで手を動かせ!!! テメェら状況分かってんのか!!?」 追い剥ぎよろしくニブルヘイム解放戦線はヴァルハラナイツからまだ使える装備を剥ぎ取り、 「撤収!!!」 自軍の精鋭部隊が呆気なく殲滅され死体まで漁られているのを広場の兵士達が唖然と見守る中、 広場の兵士には目もくれずそそくさと来た道を引き返して行った。 「何だ、これは…………………………」 今回の作戦の指揮権を持つ副将軍が駆け付けた時には既にニブルヘイム解放戦線の姿は消え、 ブヨブヨの紅い塊と化したヴァルハラナイツの血が地面を紅く染めていた。 「……………………敵の数は?」 精鋭部隊の無惨な死体の山を見て暫く言葉を失っていたが、 唐突に副将軍はヴァルハラナイツとニブルヘイム解放戦線の戦闘を間近で見ていた兵士に尋ねる。 「敵の数は!!!?」 「は、はい!! た、確かヴァルハラナイツよりも少なく50程であったかと…………………」 「ご、50だと!!? ヴァルハラナイツが4分の1程度の敵に殲滅されたと言うのか!!?」 「い、いえ、正確には"一人“です。 ヴァルハラナイツの星辰術の絨毯攻撃を無傷で潜り抜け、その後鉄の筒のような物で…………………」 一人残らず殺されました、と。
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