第零星 聖女と女勇者、救われるとしたらどっちが良い?

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『あー、触手になって幼女をヌルヌルに犯してー。」 「通報しました。」 斑尾国を襲撃する謎の武装集団を勇者一行の圧倒的な力で蹴散らし、 その主犯格であるオリエント地方最大の無法集団である東極会の本拠地へノリで殴り込みをかけてから早一週間。 オリエント地方の裏世界進出を目論むディーノ率いるバルトイックファミリーとの共闘により、 先ず初めに地元住民達の協力もあってオリエント地方各地の支部も抑え、東極会の有力者を全員捕らえオレ達の完全勝利。 何故か最後は自棄になった東極会の若頭にして最高戦力で最高位の英雄でもある金虎とオレが、 両軍大勢が見守る中一騎討ちという訳の分からない展開になったが、まあ何とか切り抜け生き残れた。 しかしその後の宴会で酔って堀に落ちて左腕を骨折したため、現在療養中という訳だ。 「つーか、あいつら何やってんだ?」 前で何かトラブルが有ったらしく4人が降りてから暫く立つが、一向に進む気配が無い。 流石に遅すぎるので、オレも降りてみる事にした。 「だから、何で私達が退かなきゃいけないんですか!!?」 リリー達が口論しているのが聞こえる。 どうやら、周りが背の高い木々に囲まれた狭い道で運悪く前方からも馬車が来て互いに道を塞いでしまっているらしい。 「ん、あれは──────ッ!!!?」 相手方の馬車──大理石のように白く光沢があり、それを引くのは全身水晶で装飾された生命を感じられない白銀の毛並みの馬。 しかもあの紋章は──────── 「大体、何なんですか貴方───────」 「馬鹿かテメェは!!!!」 スパコーン!!! と、オレはリリーの後頭部を叩き小気味の良い音を鳴らした。 「痛っ!! 何するんですかレオンさん!!?」 「いやー、どうもすみません、こいつら世間知らずな奴らでして。 直ぐに退かすんで、ちょっと待ってて下さい。 ほら、お前らも謝れ。」 オレはリリーの頭を上から押して強引に下げさせ、他の3人にも謝罪するよう促した。 「ほぅ、少しは常識のある者もいたか。」 そう見下すような感じで言ったのは、相手方の先頭に立ち、純白のマントの下に重厚な鎧を着込みハルバードを背に背負った長身の男。 その左隣にはやはり純白のマントを羽織り弓を腰に下げた少女。 更に右隣には腰と背中に2本ずつ合計4本の剣を携えた純白のマントを片方の肩に掛けた剣士。
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