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口を塞がれたまま目を据わらせた嘉月が新見を見上げ、その手の平を
「だからやめ…うわ…っ?!」
…舐めた。
驚いて飛び上がった新見が慌てて嘉月と距離を置く。
「……まっずぅ」
「おおおまっ!今ッ!なめ、な…ッ!」
ぺぺぺっと舌を出す嘉月を指差し、新見が上擦った抗議の声をあげる。
「…舐め合う仲…だったか?」
目を丸くした芹沢が繁々と二人を交互に見やる。
「違…ッ!だ、誰がこ、こんな慎みの欠片もない奴と…ッ!」
舐められた手の平をガシガシと腰の辺りで拭いながら新見が喚く。
「女の子の唇を何度も気安く塞いだ新見に天誅を下しただけだよ。って、舐め合う仲ってなんなのさ…」
そっぽを向いた嘉月が新見の慌てぶりを鼻で笑う。
「てめッ!さっきから唇を塞ぐだの天誅だのくだらねぇ事抜かしてんじゃねぇよ!ったく、こんな事する女は初めてだ!」
「…へ~、初めて、ね。」
憤りなのか、羞恥のせいかは分からないが、頬を微かに染めて喚く新見に嘉月が意味深に微笑んだ。
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