第十話

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「ッ!に、新見はん!?もしかして聞いてはった?!」 「あ?俺は廁行く所だっての。女将…聞かれちゃまずい話でもしてたのか?」 にやりと笑う新見に女将はブンブンと首を振る。 「これ…新見も男だし聞いてみる価値あり?」 「止めなはれ!そういう事はなるようにしかならんの!うち、お茶の用意してこな…ッ!」 バタバタと立ち去って行く女将を二人は突っ立ったまま見送った。 「まだ話の途中だったのに…」 あ~あ、と嘉月が溜め息をつく。 「なんであんなに焦ってんだ?お前、どんな話してた?」 焦る女将に比べ、ただ驚いただけで平素と変わらない嘉月を見下ろして新見が問う。 「うん?男と女のアレな話…?芹沢って無理矢理したりすると思う?」 躊躇いもなく嘉月がさらりと話の内容を言ってのけた。 「はぁッ!?お前…真っ昼間から女がなんて話してんだよ…しかも無理矢理って…」 あり得ねぇ…と片手で顔を覆った新見が天を仰いだ。
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