第十話

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「あり得ないって失礼な…芹沢の幸せが掛かった大事な話なんだからね」 慎み深いのは結構だけど、いちいち照れていられるかと嘉月がぼやく。 「芹沢さんの?なんで無理矢理…その、するって話が芹沢さんの幸せになるんだよ?」 気になった新見が言い難そうに先を促す。 「史実だよ。史実だと芹沢の恋仲か妾になる人との始まりは芹沢が無理矢理した事から始まってんの」 だけど、昔の芹沢ならともかく今の芹沢がそれをするようには思えないんだと嘉月が溜め息をついた。 「…無理矢理はね、如何なものかとは思うんだけど、その人はその後、自分から芹沢と居るようになるんだよ。でも私、芹沢の病気を治して運命変えちゃったからさ…」 芹沢に寄り添っていた人と知り合う時期が近付いた今、変な影響がないか気になると嘉月が眉を下げる。 「…史実が全部当たってる訳じゃないだろ?あの頃の芹沢さんでも無理矢理ってのは…なぁ?」 ピンと来ないと新見が肩を竦めた。
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