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「そうなの…かな?自分が死ぬって分かってて、その人を凄く好きになっちゃったとしてもやらない?」
眉間に皺を寄せ、その時の状況を考えながら嘉月が更に新見に回答を迫る。
「…待て。お前が真剣に考えてるのは分かった。分かったからそれ以上やるって言うな」
そしてこれ以上近寄るな。
無理矢理どうのって俺だって健康な男なんだからつい想像しちまうっての。
そもそも廁に行く為に部屋を出て来たというのに、これ以上やるやらないの話は具合が悪い。
特に身体の一部に支障が出そうで居心地も悪い。
「女将が言ってただろ?そういうのは当人同士の問題なんだから無駄に考えて煮詰まってんじゃねぇよ」
さっさと話を切り上げようと新見が結論を口にした。
「え~、そうだけど気になるでしょ?いっそ芹沢に話して…」
「だから止めろって。お前と話してたら本当に具合悪くなりそうだ…」
はぁ~と新見が溜め息をつく。
「え…?具合悪かったの?どこが?」
「ば…っ!どこがなんて聞くな馬鹿!」
かっと新見の頬に朱が散る。
「馬鹿って…私が癒してあげるって言ってんのに!!」
ムッとした嘉月が新見の襟元を両手で掴んで抗議と共に引き寄せた。
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