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「考え過ぎ~。まぁ、とりあえず入ろ?」
すいませ~ん!と沙夜の後ろから声を掛けるなり嘉月が木戸を叩く。
「姉はん、開いてるよ?」
木戸を叩く嘉月を見上げた沙夜が木戸を開けると、奥の部屋から父親が顔を出し、沙夜の姿を見るなり目を見張った。
「……………沙夜、か?」
「……うん…お父はん…」
なんとも言えない空気に包まれるが嘉月があっさりとそれを打破する。
「どうも、嘉月です!二人共、感動の再会は後ね?沙夜、お父さんを部屋に寝かせて?」
「え?あの…あ、あなたは…?」
困惑も露に父親が嘉月に問う。
「私は嘉月。こっちは壬生浪士組の新見。沙夜は今、浪士組の私の下で働いてるよ。今日は沙夜のお父さんの病気を治しに来たの」
嘉月のぞんざいな紹介の仕方に眉を寄せながら新見が軽く目礼する。
「…浪士組……壬生狼…?」
「お父はん…ッ!」
成り行きを飲み込めずに父親が呟いた言葉を沙夜が止めた。
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