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「死なへん!もう姉はんに治してもろたの!今日やって姉はんはお父はん治しに来てくれたんよ?」
「治す…?労咳を…?そんな嘘みたいな話がある訳「あるの」
嘉月がはっきりと言い切った。
「ごめん。そのやり取りは流石に聞き飽きてんの。で、お父さんの病気も労咳?」
「ククッ…お前は本当に我慢を知らない奴だな」
自分のペースで物事を運ぼうとする嘉月に新見が茶化すように笑った。
「…だって、沙夜のお父さんも労咳だとしたら予定変更だよ?家族全員集めて貰わなきゃならない」
新見の茶化す態度を気にする事なく告げられた内容に三人の表情も変わった。
「予定変更?なんの話だ?おい、あんた!労咳なのか?」
「あ、あぁ…」
父親が戸惑いながらも頷くと嘉月はやれやれとばかりに溜め息をついた。
「姉はん!家族全員ってなんやの?」
沙夜が嘉月の腰にしがみついて見上げてくる。
「労咳は移るんだよ…沙夜が先か、お父さんが先かは分からないけど、どちらかから移ったんだと思う」
潜伏期間があるから今はまだ平気でも疲れが溜まったり体調を崩した時に家族全員が労咳になる可能性があるんだと嘉月が説明した。
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