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程無く沙夜が母親達を連れて嘉月の元に戻って来た。
「おかえり!お父さんは終わってるよ」
満面の笑みで出迎えた嘉月が沙夜に向かって親指を立てる。
「おおきに!お母はん、この人がさっき話した姉はんや」
困惑したような顔のまま、沙夜に似た女性がぺこりと頭を下げる。
「沙夜がお世話になったようでありがとうございます…あの、私達に用があるとか…」
「あ、はじめまして。嘉月です。話はどこまで…?」
同じように頭を下げた嘉月が母親に気さくに声を掛けた。
「あ…旦那はんの病気を治してくだはる方がおると…あの、うちの人は…?」
心配そうに母親は奥の部屋を見つめる。
「もう治ったから大丈夫。後は体力さえ戻れば普通の生活に戻れるよ。今は部屋で休んで貰ってる…で、沙夜も労咳だったって話は聞いた?」
「治った?沙夜が…労咳…?」
「…お母はん?」
口を覆い、息をのむ母親の様子に男の子が不安そうに母親を見上げる。
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