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「わ、私達は何をすれば…」
「何も?ただ私に任せるだけ…ね?」
そう言って嘉月は沙夜に笑い掛けた。
「うんッ!姉はんは凄いんよ?痛ないし大丈夫やからお母はんも信じて?」
そう言った沙夜が母親と弟の手を引いて戸口から嘉月の元へと連れて来た。
「沙夜、ありがと!あ、新見!お母さんが背負ってる子、ちょっと抱いててくれる?」
突っ立ったままの新見に声を掛ける。
「…俺がか!?あ、赤子なんて抱いた事ねぇぞ?!」
突然の指命に新見が焦った声を上げる。
「あっそ。初体験出来て良いんじゃない?あ、お母さん、この人は浪士組の新見。よろしくね?」
さらっと新見の紹介をした嘉月は母親の背中から赤子を抱き上げると大事そうに新見の腕に預けた。
「すんません、お願いします」
「………………………」
母親が新見に頭を下げるが新見は返事も出来ず、赤子を抱いたまま硬直していた。
「…あんたは置物か…ッ!どうでもいいけど絶対に赤ちゃん落とさないでよ?沙夜、念の為、新見を見てて?」
頼りにならない男だとぼやいた嘉月は沙夜に新見の事を頼むと母親と向き合った。
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