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「姉はん…はい、お茶…」
「ありがとう」
あれから納得してくれた太一君の治癒を終え、沙夜が煎れてくれたお茶でみんなと一緒に一服中。
太一君の結果は残念ながら黒で、沙夜から家族の話を聞かないでいたらと思うとぞっとする結果になった。
「嘉月はん、沙夜の事といい病の事といいほんまにありがとうございました…おかげで家族残して逝かんで済みます…」
「いえいえ…どういたしまして…」
「新見はんも…私達のせいで痛い思いさせてもうてえらいすんませんどした…もう痛い事あらしまへんか…?」
「……あぁ、何ともない」
「お姉はん、俺、嘘つきやなんて言うてごめん…兄はんも…」
「うん、気にしてないよ」
一服中…だというのに沙夜の家族からのお礼の言葉やら詫びやらをご丁寧に述べられてちょっと堅苦しい。
「お父はん!お母はんも太一もいい加減にしぃ!姉はんは堅苦しいのは好かん。もう気にせんでえぇ言うてくれたやろ?」
「せやけど沙夜…」
「せやけどやないの!そんなんばっかし言うてたら姉はんが疲れてまうからやめて!」
沙夜がぴしゃりと父親の言葉を遮った。
「なぁ…この家族、沙夜が一番しっかりしてねぇか…?」
隣に座る新見がぼそりと呟く。
「同感…。なんか置屋にも自分から飛び込んでそう…」
きびきびと動く沙夜を見ながら嘉月は感心したように頷いた。
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