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「姉はん、おかわりは?」
空になった湯飲みに気付いた沙夜が嘉月の湯飲みにお茶を注ぎ足す。
「ありがと。ほら、そんな動き回らなくていいから沙夜も座って?久し振りに家族と会ったんでしょ?」
まだ何かしら動き回りそうな沙夜の手を引き自分と父親の間に座るよう促した。
「あの…沙夜が今、浪士組で働いているというのは…」
父親が隣に座った娘を見て心配そうに尋ねて来た。
「本当だよ。浪士組で寝泊まりしてるけど、沙夜の仕事は私の身の回りの世話みたいなものだし心配はないと思うから安心して?」
「身の回りの世話…」
「うん。私、あの力で病気の人を治してるの。沙夜は今みたいに私の世話を焼いてくれてるよ。凄く沙夜には助けて貰ってる」
そう言うと沙夜は嬉しそうにはにかんだ笑顔を浮かべた。
「お父はん…うちね、姉はんや芹沢はん、新見はんにもえらい可愛がってもろとるの…せやからうちはこれからも姉はんの傍で姉はんの手伝いがしたい思とるんよ」
はっきりと自分の考えを伝えてくる娘に父親は困ったように眉を下げた。
「芹沢はんっていうお方は…」
「浪士組筆頭局長、芹沢鴨。ついでに言えば、俺も浪士組の局長だ」
「えぇっ!!」
新見の言葉に父親は驚愕の声を上げた。
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