序 章

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落ち着け、自分。 ひとつ深呼吸をして、もう一度月を見上げる。 道は……淡い光はまだ其処で存在を示している――     ―*―*―*― 「睦月ちゃん、ちょっといい?」 階下で洗い物をしている睦月に声を掛けた。 正真正銘産みの母だが、年齢不詳な容姿と本人からの希望により嘉月は『睦月ちゃん』と呼んでいた。 「なぁに~?」 小柄な睦月がパタパタと足音を響かせて近づき、嘉月を見上げる。 「外…月、見てくれる?」 カーテンを開け、月を見上げるのを待って夢の話を睦月にも話して聞かせた――
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