4人が本棚に入れています
本棚に追加
/77ページ
8組は廊下の一番奥。
大きく開いた廊下の窓からは柔らかな春の空気が流れてくる。
菜美には軽く言ったけど、わたしはけっこうそんな「出会い」を信じている。
突然目の前に出会いが降ってくること。
いわゆる運命の出会い?
たとえば3秒後…、
3・2・1
「…きゃっ!!」
とたんに突風がドッと窓から吹き込んできて、目の前に無数の桜の花びらが舞った。
「わあ、すごい・・・。」
風でグチャグチャになった髪の毛にも気づかず、そのきれいさに見とれた。
廊下が春でいっぱいだ・・・。
何気なく窓の外に目をやった時、
「・・・あれ?」
窓から見下ろした中庭には、桜の木が1本生えている。
さっきの花びらはその木から散ったらしい。
その桜の木の陰に、誰かがいた。
最初のコメントを投稿しよう!