コピーとスパイ

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カツンとビールジョッキをぶつけ、それをゴクゴクと喉に流し込む。 「あぁーっ、生き返る!」 「手伝ってくれてありがと。 リカさん、じゃんじゃん頼んで」 「言われなくてもそうするわよ」 結局、私は坂井のお誘いを受けてしまった。 お腹も空いてたし。奢ってくれるって言うし。 ……って、部下にタカろうとしてる私ってどうよ。 ま、支払いの時に割り勘にでもすればいいか。 そう思いながら、お品書きに手を伸ばした。 「何頼もうかなー。 とりあえず、だし巻き玉子は必須でしょ? で、後は……」 正面で、坂井が「ぶっ」と吹き出した。 「何よ?」 「いや、リカさんってだし巻き玉子好きっすよね」 「それが何よ? 嫌いな人って殆どいないでしょ」 「そうだけど。 何か、リカさんって、だし巻き玉子ってイメージじゃないんだよね」 何だ、そのイメージってのは。 「じゃあ、だし巻き玉子じゃなかったら何なのよ?」
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