コピーとスパイ

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「んー……、何だろ。 ピザとかサンドイッチとか、和食じゃなくて手で食べられる物がピッタリって感じかな」 そう言われて、残業中に差し入れを持ってきてくれた時の事を思い出した。 あの時サンドイッチだったのは、そういう了見だったのか。と妙に納得した。 「意味分かんないわよ。 悪かったわね。だし巻き玉子で」 「いや、悪くないでしょ。俺そういうの結構好きだし」 「あ……、そう?」 好きって言葉が、やけに耳に残った。 「あれ?リカさん顔赤くない? まだ1杯目でしょ?」 気付いているのか、いないのか。 坂井の声は、いつもの調子だ。 「あぁ、空きっ腹に流し込んじゃったから、ちょっとフワッときちゃったのよ。直ぐに引くわよ」 ペタペタと熱くなった頬を押さえた。 自分でも、なぜ顔が赤くなったか分からないのだ。 ドキッとしたわけでもないのに、段々顔が熱くなっていった。 「……じゃあ、坂井は何が好きなのよ?」
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