コピーとスパイ

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「あぁ。 奈々さんは元々、マルヨシの縫製部に居たのをこっちに連れてきた人だから、マルヨシなら親しい人も居るんじゃない? こっちだとミシン踏んでんのは彼女1人でしょ。縫製に関して話が合う人は、こっちには居ないんだもの。孤立しやすいわよね」 「ふーん……」 坂井はまた、手で口元を覆い隠した。 「何?何か気になる事があるの?」 「いや、あの人が笑う顔って想像出来ないなと思っただけ」 「あ、そう」 その意見には納得出来るけれど。 眉をしかめてまで深く考えるような内容でもない気がする。 「俺さ、企画ってナメてたんすよ。 今やってるヤツも、俺が脱がせてみたいと思う下着でいいかって適当に描いただけで……。 もっと真面目にやれば良かったかなー……」 ふと、坂井が遠い目をした。 少し酔っているのかもしれない。
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