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「んじゃリカさん。俺のも何か適当に頼んで」
坂井はそう言い残して、ドアから出ていった。
あ、そうだ。
ふと、思いついたことがあり、「マスター!」とカウンターに手をついて身を乗り出すと、マスターは肩を竦めて目を見開いた。
「な、何よ、驚くじゃない!」
「お願いがあるの!協力してくれない?」
***
「ただいま」
しばらくして戻ってきた坂井を横目で迎えながら、私は既にカウンターに並べられたカクテルグラスを指差した。
「何スか、コレ?」
ぼんやりと灯ったダウンライトの下に、透き通るようなオレンジ色と赤色の混ざったカクテルが2つ並べられている。
「シーブリーズよ」と答えるマスターに続き、私は「赤い下着を作ってるし、赤いモノを頼んでみたの」と答えた。
「へぇ。リカさんって粋な計らいするんだ」
「何よソレ。ほら、乾杯!」
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