78人が本棚に入れています
本棚に追加
カチンとグラスを合わせ、私は何食わぬ顔でグラスに口を付けた。
チラリと坂井を見下ろしたマスターが、やれやれと言いたげな顔で小さなため息を吐いている。坂井がシーブリーズに口をつけたのを確認すると、マスターはまたグラスを磨き始めた。
実は、私はマスターに「アイツの酒はキツいのを作って、私のはノンアルコールにして」と頼んだのだ。
坂井のシーブリーズはウォッカ多め。
かたや私は、似た色のただのジュース。
だって、坂井は色々と気になる事が多すぎる。この機会にどっぷり酔わせて聞き出してやろう!と思いついたのだ。
それから数時間が経過した。
「リカさん……。俺、もう無理……」
坂井はカウンターに肘をついて、頭を支えている。
「何言ってんのよ。まだまだイケるでしょー?」
くどいようだが、坂井はキツいお酒。そして私はジュース。もはや私の胃袋も、たっぷんたっぷん音が鳴っている。
飲み過ぎた。もう飲めない。
ジュースだけど。
最初のコメントを投稿しよう!