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そんな詩織とは裏腹に
桜は落ち着いた口調で言った
「うーん
学校の先生と生徒って関係になるずーっと前からの付き合いよ」
「え…そうなんですか…」
「だから詩織ちゃんが幸也くんを好きだって言うならライバルになるわね?」
──無理だ
勝てるはずない…
「ライバル…ですか…」
「でも勝てるかなぁ?詩織ちゃん」
目の前にいる桜が
詩織の目には
先生ではなく
ひとりの女に見えた
「…そうですよね
無理ですよね…ごめんなさい」
今にも泣き出しそうな声だった
それでも桜は容赦ない
「付き合ってるからねぇ
あ、これはここだけの秘密にしといてね?」
そう言ってにっこり笑うと
また続けた
「でももし私が飽きたら譲ってあげるわ」
──こえーよ、先生
勝てっこないわ…
「はぁ…」
「まぁ、心臓の痛みの原因がわかったからよかったわね!」
──いやいや、わかったのはいんだけど痛みは増したよ
「…ありがとうございます
戻りますね」
詩織はそう言って
保健室を後にした
そんな詩織の背中を
申し訳なさそうに桜は見つめていたのだった
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