すれ違い

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「お前…」 そう呟く瀬戸の前にいるのは 「あ、さっきぶりだね幸也くん」 紛れもなく健人であった 健人は視線を 瀬戸から詩織へ移すと 「初めまして!飯田健人です。同じ3年だよ」 そう言ってにっこり笑った 「は、初めまして…」 「詩織ちゃん、僕と一緒に帰らない? 」 突然の誘いに詩織はぽかーん 瀬戸は… 「いや、初対面だろ?さすがに…いきなりすぎじゃないのか?」 瀬戸はわかっていた 自分が健人に逆らえば 秘密をバラされる でもそんなこと無しにしても 人間としてこれはなんか違う 「幸也くん?」 そんなこと言ったらどうなるかわかってる?と訴える健人の目 「いや、わかってる。でも、これはあんたのためだ」 そう言って 顔を健人の耳に近付けると 「こいつに好かれたいんだろ? だったら急に誘ったら駄目だ 時間かけないとな?」 そう呟いて顔を離した ──ここまでフォローしておけば 機嫌を損ねることなく 平和に事を終えられる 「そ…そうだな…」 幸い健人も納得のようだ よし、これで完璧だ と、思ったのに。
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