33人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前…」
そう呟く瀬戸の前にいるのは
「あ、さっきぶりだね幸也くん」
紛れもなく健人であった
健人は視線を
瀬戸から詩織へ移すと
「初めまして!飯田健人です。同じ3年だよ」
そう言ってにっこり笑った
「は、初めまして…」
「詩織ちゃん、僕と一緒に帰らない? 」
突然の誘いに詩織はぽかーん
瀬戸は…
「いや、初対面だろ?さすがに…いきなりすぎじゃないのか?」
瀬戸はわかっていた
自分が健人に逆らえば
秘密をバラされる
でもそんなこと無しにしても
人間としてこれはなんか違う
「幸也くん?」
そんなこと言ったらどうなるかわかってる?と訴える健人の目
「いや、わかってる。でも、これはあんたのためだ」
そう言って
顔を健人の耳に近付けると
「こいつに好かれたいんだろ?
だったら急に誘ったら駄目だ
時間かけないとな?」
そう呟いて顔を離した
──ここまでフォローしておけば
機嫌を損ねることなく
平和に事を終えられる
「そ…そうだな…」
幸い健人も納得のようだ
よし、これで完璧だ
と、思ったのに。
最初のコメントを投稿しよう!