すれ違い

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「ただいまぁ」 そう言って玄関のドアを開け 靴を脱ぐ詩織 しかし…瀬戸の靴がない 「おかえりー」 いつもはいない時間帯なのに 珍しくいる光子 「あ、ママ、瀬戸は?」 そう言って冷蔵庫を開け アイスクリームを取り出す詩織 「バイトよ」 慣れたようにスプーンを詩織に渡す光子 そのスプーンを受け取り カップのアイスクリームをすくい 口元へ運ぶ 「うめぇ……あぁ、瀬戸バイト?なんの?」 「飲食店みたいよー」 「てかなんでバイトしてんの?」 治療の為に少なからず バイトはしといた方がいいでしょ なんてことは言えない 「そりゃ学生だもの遊びたいでしょ?それに瀬戸くんのことだから ただで住むのは悪いとか考えたんじゃないかしらねぇ…」 我ながら妥当な嘘だと光子は思った 「ふーん…」 ──じゃあこれから家に帰っても なかなか瀬戸には会えないのかな …つまらないな。 新しい恋を始めると言ったものの それとは裏腹に思うことは 瀬戸のことばかりだった
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