嵐の前の静けさ

2/3
前へ
/17ページ
次へ
『ごめんなさい。好きな人ができたの…』 『……そっか…。ソイツと、…幸せになれな』 『…ん…』 ー♪~♪ 「……」 携帯のアラーム機能が、設定しておいた時刻になったことを告げる。 手探りでソレを止め、ベッドから体を引き離す。 「はあ…」 まただ…。 あの日からもう1年半も経つってのに…。 女々しいにもほどがあるな…。 そんな自分に呆れつつ、仕事に行くために着替えをすることにした。 窓から差し込む光が、今日は快晴だということを知らせる。 4年半も付き合った彼女との関係に終止符を打たれた日も、こんな澄み渡るような青空だった。 まるで、これから新しい出来事が起こることを予感させるような、そんな青空。 けれど、あの日は─。 「…」 またため息が出そうになった時、突如、着信を知らせる音楽が阻止するかのように部屋中に鳴り響いた。 「─はい、なが─」 「おっはよーっ!」 「っ…!!?」 思わず携帯を耳から遠ざけ、顔をしかめた。 …ホント、朝から元気なヤツだな…。 携帯からこぼれ落ちる言葉を少し眺めてから、ゆっくりと耳元に近づける。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加