クスノキ

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動かなくなったあの子を溶かそうとでもするかのように、雨が激しくあの子に打ちつける。 そう、早く。 早くあの子を土に還して。 また私の足元に。 もう一度、こんな出会いを育てるために。 あの子の声が、ずっと、ずっと響いてる。 『大好き、大好き、大好き』 ああ私、――淋しくない。 『私も大好きよ』 私もあの子にそう言えば良かった。
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