大地 そして空

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「アタシ、見てるだけしかできないの? なんだか悲しい」 「お前はちゃんとやっているじゃないか。風や雲や雨に姿を変えて、みんなのところを回っているだろう」 「でも何にもしてあげられないんだもん」 「お前は、そこにいればいい。 お前にもいつか寿命は来るんだから。それまでは、いつもそこで笑っておいで。 お前がいるから、みんな今を生きてる。みんな、そんなお前を愛してるんだよ」 「でも……」 「何かしたいのかい? なら、愛することだ。 お前を作ってくれる、すべてのものをね。 みんな、お前の一部なんだから」 「愛する? ってどうやるの?」 「お前がいつもやっていることだよ。 大好きだって気持ちで、自分をいっぱいにすればいい。 そうすれば、溢れた気持ちが風になり雲になり雨になる。 大丈夫、お前はちゃんとできているよ」 「うん! アタシ、みんなのこと、もっと大好きになるね! ありがとうおじいちゃん、大好き!」
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