輸送、奪取、そして籠城

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任務が始まった。 任務といっても、報酬があるわけではない。 見た目でいえばティーンエイジャーとも言えるような一人の男がまるで思いつきのように言い出した、引越し作業のようなものだ。 膨れ上がりつつある人員と力を効率的に運用するため、拠点を増やすことにした。 新たな拠点先を本拠地とし、今そこに様々な物資を輸送する。 その作業にこれだけ厳重なのは、その物資の中に、我々の生命線が多分に含まれているからだ。 ひとつの拠点だけでは持て余す、輸送の際のリスクを承知の上での今回の作業は、今後の戦況を大きく左右する。 「第1陣、出発だ」 リベリオンからの通信を受け、最初の輸送隊が地下基地から地上に向けて動き出す。 ひとつの輸送隊につきトレーラーが5台、うち1台は囮用の空荷、もう1台には下級戦闘員、それらトレーラーの周囲を5~6人の上級戦闘員が護衛する。 その輸送隊が全部で10隊。 輸送自体の効率は良いとは言えないが、警備は厳重だ。 「キリア、行くぞ」 私とリベリオンは同じ輸送隊、最後の陣だ。 跨がったバイクのエンジンをかけ、トレーラーに続き地上を目指す。
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