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「状況を報告しろ」
『スレイヤー』が動かないはずがなかった。
当然だ。
『スレイヤー』も含め、あらゆる組織が膠着状態にあるとはいえ、ここは腐ってもまだ『スレイヤー』の陣地だ。
いかに小細工をしても、どうやっても、不穏な動きがあれば嫌でも情報が向こうの耳に入るだろう。
ましてや、それが最優先の排除対象と分かれば尚更だ。
「視認した人数は5人、うち1人はポール。
それぞれが1台ずつ車両で移動しているのを見た。
気付かれるのも時間の問題だろうね」
マリーの言うとおり、このまま計画を続行しても、終わる前に必ず全ての輸送隊が補足される。
そうなると厄介だ。
そして報告にあった相手の面子から考えれば、向こうは少数精鋭で揃えている。
市街地でも目立たぬように、かつ、確実に殲滅するために上級戦闘員を配置しているはずだ。
すでに『スレイヤー』が組織の人間を送り出したということは、こちらの輸送隊を一部でも補足しているのだろう。
「全隊、戦闘に備えろ」
全ての輸送隊に周知する。
もうじき、この静かな夜も終わる。
そしてそれを知らせる報告がマリーから飛び込む。
「会敵、戦闘に入る」
直後に、マーチのように遠くから銃声が響き渡る。
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