遠き日常

6/11

5007人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
――――― ~同基地内地下6階、多目的ロビー~ 「もう少しで出発?」 酒瓶を片手に、ロビーのテーブルの上で両足を組んだマリーが不機嫌そうに確認してくる。 「今が22時30分、あと3時間半後にはな。 分かったらさっさと酒を止めろ」 「戦闘要員なんか、あんたとリリィとキリアと何人かでいいだろ、リベリオン。 たかが荷物の輸送の護衛で、何であたしや他の幹部まで出なきゃならないんだ」 マリーは一向に酒を止めず、瓶に入ったウォッカは一口ごとに目に見えて減っていく。 「その『何人か』にお前も入ってるだけだ。 道中で『スレイヤー』以外の連中とも出くわさないとは限らない。 分かったら酔いでも醒まして来い」 マリーの手からウォッカを引ったくり、残りを飲み干す。 「あたし達がそんな簡単に酔うかよ」 マリーの言う通り、施術を受けた人間は、アルコールに対する耐性も生身の人間よりも格段に上がっている。 だが、酒を好きなだけ飲むための身体ではないのだから、当然限界もある。 「ザクースカも無しにウォッカを一瓶飲んでもそんな事言えるか? 3時間後に酔っ払ってたら尻からスピリタス流し込むからな」 「やってみな、お前の耳元で、食った物も添えて『返して』やるよ」 マリーがテーブルから足を下ろし、席を立つ。 口では反抗するが、彼女はやるべき事はこなす人間だ、言葉通りになることはないだろう。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5007人が本棚に入れています
本棚に追加