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「元気そうじゃないか、リベリオン。
こんな時間にこんな場所で会うとはな。若いのは結構だが、もう少し運転には気をつけたらどうだ」
優雅に、しかし決して遅くない速さで歩みを進め、距離を詰めてくるジェイド。
威嚇するように彼の手に宿る揺らめく炎、いつになく饒舌に喋る口、この状態の彼に会うのは最悪と言っていい。
「……そっちは随分ご機嫌みたいだけど。
少しは落ち着いた方がいいんじゃないか」
「そう言うな。
せっかく会ったんだ、久しぶりに楽しもうじゃないか」
高揚した感情を抑えるつもりもない口調、そして首筋から覗く発光したタトゥー。
ああ、本当に最悪だ……。
よりによって珍しくやる気に満ち溢れたジェイドが此方の相手か。
そしてもう話をするのも面倒だと言うように、ジェイドはその場で足を止めて腕を振りかぶる。
その動きに合わせて腕の炎が急速に鎮まり出した。
距離にして20メートル程度、至近距離とはいえないが、ジェイド相手では危険な距離だ。
くそ、動け……!
力が充分に入らない脚を強引に奮い立たせ、ジェイドが腕を振るった瞬間に合わせて横に跳躍する。
瞬時に炎が膨れ上がり、ジェイドが放った灼熱を文字通り肌で感じながら、ガードレールを飛び越え体勢の立て直しを図るが、着地まで力が保たずに路肩の上を転がってしまう。
すぐに起き上がるが、目の前には既にジェイドが追撃の構えを見せていた。
本当に最悪な状況だ……。
悠長な時間も与えられず、ほぼ条件反射で黒光を発現させて迎撃に入る。
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