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扉を開けた途端とても大きな叫び声が僕等の頭に響いた。 その声に顔を顰める。 「耳塞いでもこれとか…何なんだここは」 「あまり食堂には来ないからね。初めて来たのは三時頃だったから人が少なかったし、それ以来着ていないからこんなに恐ろしい場所だとは思わなかったよ」 普段僕と瘋斗は交互でお弁当を作ってどちらかの教室で一緒に食べている。 食堂まで行くのが面倒だし、食堂だと周りの人の声があってよく喋れないと思ったから。 ここに通う人の殆どが食堂を使うので、いつも僕らが昼食を食べるときは二人きりか自炊をしている人がたまいるかに位。 「カズは平気なの?」 隣でニヤニヤとしているカズに聞いてみる。何であんな叫ばれたあとにそんなに笑って要られるの? 「ふっふっ腐っ……俺には特性の耳栓があるのだ! これを付ければ周りの音が一切聞こえなくなる優れもの!これで毎日の昼食も安心☆今ならなんと一人分1340円!さぁ買った買った!」 と、耳栓を何故か二人分取り僕達の前に突き出してきた。 「一回無料お試しと言うことで」 「わっ、勝手に取らないで!」 「ほい楓の」 「ちょっと待ちなさいよ!レンタル料ってものが」 「ありがと!早く入ろうか」 「勝手に付けないでちょうだい!」 「だな」 「あり?わたすの分はないのかしら?」
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