2-3

42/45
前へ
/1915ページ
次へ
******  四月も終わり、五月の連休が過ぎた後。  久しぶりの登校日。最後の授業が終わって、放課後に突入した。  わいわいと、クラスメートが帰り支度をする中で、左頬に大きな白いガーゼを張っていた、二年生Sクラスのユウ・スウェンラは、疲労感たっぷりの溜め息を吐いた。 「はあ~疲れた~・・・連休明けっていうのに、どうしてこんなにも疲れるんだよ・・・」  最後のホームルームが終わるや否や、机に伏っつぶして、ユウは低く呻いた。  彼の疲労の理由は、連休中に起きた数々の出来事のせいなのであるが、割愛する。 「ユウ。部活に行くぞ」 「お前らだけで行け。俺はもう帰る」 「今日はこの前の発表会の打ち上げだ」 「疲れてるんだよ。じゃあな」  引き止めるアサを跳ね除けて、一人鞄を肩から担いで、教室を後にしようとしたユウであったが。 「ん?」 「お疲れ様です、ユウ先輩!」  ドアの直ぐ向こうに、ラウル・カークランドが明るい表情で立っていて、ユウは止まった。 「何か用か?」 「今から部活動なんで、呼びに来ました!」  いつもと違って、溌剌とした表情をするラウルに、ユウは虚を突かれた。  その隙をつき、ラウルはユウの腕を掴んだ。 「さあ!行きましょう!」 「んのわっ!?」  不意討ちされたのもあって、片腕をがっしりと固定され、そのまま強い力で引きずられていくユウと、軽くスキップするラウル。  その光景を、教室のドアから覗いていたアサら四人は、瞬きを繰り返した。 「あんな仲良かったかな?」 「いつの間に・・・」 「ふうん・・・」  リナの呟きの後に、リュウも呟いて、フェイルが間抜けた声を漏らす。  そして、三人の後ろから見ていたアサも、感情表現の乏しい金色の瞳で、無感情に見据えていた。
/1915ページ

最初のコメントを投稿しよう!

549人が本棚に入れています
本棚に追加