付録

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******  水色の女の子は、優しいお兄ちゃんが二人と、おじいちゃんとおばあちゃんと、お母さんの五人家族でした。  お父さんはいません。それでも、女の子は優しいお兄ちゃんに守られて、すくすくと育っていきました。  女の子はお姫様のように育てられました。だけど、一人・・・お母さんだけは、違いました。  女の子のお母さんは、ずっと寝た切りでした。起きて家事をするのもままなりません。それぐらい、ひどく弱っておりました。  女の子には、お母さんに可愛がられた記憶はありません。ずっと、お兄ちゃんとおばあちゃんたちに、世話をしてもらっておりました。  ある時、女の子は思い切って、お母さんに甘えてみました。 「おかあさん!みて、おかあさんをかいてみたよ!」  女の子は、クレヨンで書いたお母さんの絵を、お母さんに直接上げました。お母さんに喜んでもらいたかったからです。  だけど、お母さんは見てもくれません。 「あっちに行って」  お母さんは、冷たく返しました。  だけど、女の子はお母さんに構ってもらいたい一心で、お母さんに引っ付きました。 「おかあさん!おかあさん!」  何度も何度も呼ぶと、お母さんは怒り出しました。 「向こうに行ってって言ってるでしょ!」  ばしん。と、お母さんは女の子を叩きました。  今まで叩かれたことのない女の子は、驚いていました。  お母さんは、女の子が動けないのをいいことに、何度も叩きました。 「あんたさえ!あんたさえいなければ!」  狂ったように叫び始めたお母さんに、真っ青になったお兄ちゃんとおばあちゃんたちが止めに入りました。 「母さん!リナはまだ小さいんだよ!」 「りっちゃん、向こうに行ってなさい!」  お兄ちゃんに止められながらも、お母さんは、女の子に向かって叫びました。 「あんたなんか、産まなきゃよかった!」  女の子は泣きませんでした。ぐしゃぐしゃになった紙の上で、ぼんやりしてました。  そこで、お母さんが、女の子のことを大嫌いだってことを、ようやく気づいたのでした。
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