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子供の周りは、死で埋め尽くされていた。
子供を中心にして広がるのは、腐った肉体。元は人だった物が、朽ち果て、腐敗し、虫がわいて、腐臭を放ち、原型を留めていないほど、歪んでいた。
元は教会だった建物で、中も外も、死体の山で埋め尽くされている。
その建物の中心に、子供は立っていた。
黒いローブを羽織り、フードを深く被って・・・右手に己の銃を持ちながら。
それは装飾銃だった。手のひらから余るぐらいの、大きな装飾銃。
銃身は黒。グリップも黒。しかし、装填部と安全装置だけが銀で出来ており、銃身には白い文字が書かれている。
『DETH』・『SIZE』と。
壊れた教会の天井から、太陽の光が差し込んだ。
まるで、子供を祝福するかのように見える。だが、その光景は、神々しいというより、不気味だ。
死体の海の中で、子供は唯一、息の残った生者を見付けて、見下ろした。
心臓の在った箇所に、大きな穴が空いていて、そこから赤黒い血が流出し、広がっていく。息はもう小さく、肺の機能が弱まっているのか、細い息しか吐かれていない。
どんよりと濁った黒の目で、見下ろす子供の目を映しながら、それは嗤う。
────君とおれは、一緒なんだ。
死を目の当たりにし、最後に、呪詛に近い言葉を、それが吐いた後。
光を帯びた銀色の目が、それに向けて、装飾銃の銃口を向け、引き金を引いた。
完全に肉塊となったそれを、見下ろして、子供は言った。
「────任務、完了」
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