白い花

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 壊れた人形の様に踊り、腹の中身をぶちまけてから一日が過ぎた。相変わらず空も町も灰色だ、と物思いにふけっていたとき、奇妙な感覚が頭に走った。なんというか、誰かが俺を呼んでいる気がしたのだ。そう、ずっと遠くから、俺の為に、来てくれているような気がした。 「なんだ、あの光……」  そんな、半端おかしい妄想のような、それでいてはっきりとした実感があるような感覚に襲われていたとき、霧の上で強く輝く光が見えた。まるで雷のような、でも音はしない不思議な光が指した後、空を覆う霧に小さな裂け目が出来て向こう側と繋がった。そして 「なんか落ちてきてるよな?」  霧が晴れたところから、何かが落ちてきている。天高くに見えるその物体は、何かを散らしながら大よそこちらの方向に落ちてきているようである。  しかし物が落ちるスピードとは大したもので、数秒後には近くの瓦礫に落ちたようだ。激しい煙が上がっている。 「……」  何かが落ちたのは三つほど建物を挟んだ向かい側、しかし建物と言っても崩れているので、実際は目と鼻の先ともいえた。  なぜ、俺がすぐに動かないのか……簡単な事だ、衝撃で足場がぐらつくのと、とてもとても嫌な予感がするからだ。それもとてつもない何かが始まるような、何かが…… 「まっ、どうせ死んでも構わないし、行ってみるか」  そこにたとえエイリアンがいて食い殺されようと、ターミネーターがいて身ぐるみはがされようと、俺からすれば些細な事だ。どうせ、ここでは、失うものなんざたいしてない。鼻を鳴らして落ちた方へと向かうことにした。  瓦礫のわきを抜け、嫌な予感が好奇心に変わりつつある頃、とうとう何かが落ちてきた場所までやってきた。そこは、小さなクレーターの様になっており、埃や灰色の雪が舞っているせいで、何が落ちてきたのかさっぱり見えない。
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